葬式を行うにはたくさんのお金がかかります。一般葬の場合だと参列者の数次第で大幅に異なりますが、平均相場としては200万円を超えてしまいます。これだけのお金がかかるとなると、大半の家庭ではその費用を一括して貯金から引きずりだして支払うことは大変な痛手となります。
そこで日本ではこの苦しい事情をみんなで救う方法として香典という習慣が生まれました。この習慣では何万円または何千円を黒い帯に包まれた封筒に入れて持参します。金額の相場は故人との関係で変化します。親子兄弟などでは数万円くらいになるし、近所の人だと3000円くらいで済むこともあります。
この渡したお金でご遺族たちは生活貯金を一気に大幅に減らさないで済ませることができます。ただしこれはあくまでも預り金ですので、いずれは返さないと無礼な対応となってしまいます。もし渡してくれた人やその家族が逝った時には、それと同じ金額のお金を渡して返すのが礼儀とされます。そのためには葬儀が済んだ後に、渡してくれた人のすべての名前と金額をメモるなどして保存しないとなりません。たたしこの習慣は不文律の対応なので、明確にこうしなければならないというルールはありません。そのために対応は地域やご遺族の意向次第で変化してきます。例えば山梨県の一部地域ではお金は封筒に包まず、現金だけを渡すようにしています。これはお金を封筒から開ける手間を省くためだといわれています。また地域によらず、ご遺族の意向で香典自体を受け取らないところも増えています。それを受け取らないということはお返ししないでも良いことを示唆します。これによって面倒な関係を築かなくても済ませられることになります。